サイト トランスレーション/Sight Translation

サイトトランスレーション(sight-translation)とは

これも通訳技法の一つです。同時通訳が原稿を見ながら訳出するイメージです。ここで問題なのが英語と日本語の基本的な構造と語順です。多くのヨーロッパ言語と異なり英語と日本語は構造上、ほぼ全く反転しています。英→日では後ろからの”返し訳”になります。つまり、一度読んだ文を再度文末から節ごとに戻りながら訳を積み上げる手法です。これはむしろ出版物などの翻訳で訳の完成度と日本語の美観に重点が置かれており、かなりの時間を要します。活字ではなく音声を扱っているとその間に話はどんどん先に進んで訳との”ズレ”が生じてきます。また間引きが発生し意味のつながりが悪くなります。これは訳者にとっても聞き手にとってもストレスです。

サイトトランスレーションでは、返し訳をせず、原稿を見た順に文節ごとに、上から順に訳出をしてつなげてゆきます。これにより、2度読みや目線が上下左右を往来することを限界まで減らし原稿を見てから訳出までの時間を最短化します。単純計算で訳出の時間が最大で30〜40%まで短縮できます。

また、声に出して訳出するため、誤った訳をした場合は、その場で自分が違和感を感じ間違いに気づきやすくなります。また文頭から文節ごとに順に意味をつなげて行けるので、リスニングの際も頭の中で情報が渋滞や錯綜を起こしにくくなります。聴解力向上にもとても有効です。

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